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2019年11月14日 (木)

『マンザナの風にのせて』

0002_20191113152701 『マンザナの風にのせて』

ロイス・セパバーン 作

若林千鶴 訳

ひだかのり子 絵

文研出版 2018年6月30日 第1刷

     2019年3月28日 第2刷

 この本は、2019年度の小学校高学年(5・6年生)の課題図書とのことです。

 マンザナというのは、シェラネバダ山脈のふもとの砂漠地帯で、スペイン語でりんご園の意味だそうです。夏の気温が40度を超え、冬は氷点下になる土地だそうです。カリフォルニア州の一区画とのこと。

 第二次大戦中、日系人が強制収容された収容所の一つがここにありました。この本の作者、ロイス・セパバーンさんは、この近くでこども時代を過ごし、1974年生まれだそうですけれど、マンザナの強制収容所の鉄条網の柵をまじかに見て育ったのだそうです。

「アメリカ市民の自由のもろさを現在と未来に伝える」としてマンザナ収容所は1992年に国定史跡になったそうです。

 1万1千人を超える日系人がそれまでの家・財産・仕事を放棄させられて収容され、1945年8月15日の日本降伏後、強制収容所は閉鎖されました。

 1964年公民権法の制定を受けて60年代後半には日系人二世と三世が裁判を起こし、1988年、レーガン大統領は、第二次世界大戦中の強制収容に対して公式謝罪し、生存者に対して一人2万ドルの賠償金を払いました。

 19世紀後半、多くの日本人が仕事を求めてアメリカ合衆国に渡っていました。ハワイに20万人、アメリカ本土に18万人に上ったそうです。ハワイではサトウキビ農園、本土では製材業、造船業、鉄道建設、缶詰工場、農場など、厳しい労働環境の中で懸命に働きました。

 一世には市民権も土地購入の権利もなく、白人との結婚は禁じられていたそうです。アメリカ生まれの日系人二世には市民権がありましたが、偏見と差別からは自由になれなかったと書かれています。

 この本を読むまでは、こうしたことについてほとんど知らなかったので、少し詳しく引用させていただきました。

 戦争は、それまで苦労しながらも平和に暮らしていた人々の生活・人生を一変させてしまいます。日系人の志願兵だけで組織された第442連隊戦闘団という連隊は激戦地のヨーロッパ戦線に送られ、もっとも勇敢に戦ったそうです。その兵士たちの胸中はどんなだったかと思わずにはいられません。

 いかなる戦争もなくし、民族・国境を超えて、ラグビーの「ノーサイドの笛」が響き渡る状態に、と心から願います。

 よろしければ、どうぞお読みください。

 今日も、良い日となりますように。

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