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2020年2月11日 (火)

生身の人間を大切に ー 文明の恩恵は受けながらも ー

 先日ご紹介した『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』 (二宮敦人著・新潮社・2016年9月15日発行)0005_20200210212201

から、印象に残ったこと・言葉をいくつか列挙させていただきます。

・あるピアノ専攻生 「音楽の世界って厳しいです。みんなライバルですし、人間関係もどろどろした部分があって。人に嘘をつかれたり、そういうこともあります・・・。でも、ピアノは絶対私を裏切らないんです。自分が頑張った分だけ、必ず応えてくれるんです。そうして聴く人を幸せに出来るし、私も幸せになれるんです。

・口笛で入学した人が居る その人が初めてで、多分、これからもいないだろう。 2014年「国際口笛大会」成人男性部門 グランドチャンピオンに。

・あるヴァイオリン専攻生  「中学の頃いじめられていた・・・死ぬ間際まで追い詰められていました。そんなとき、ヴァイオリンに集中することで乗り越えられたし・・・ヴァイオリンに集中していたら高校にも合格して、そこから藝大にも進んで・・・道が開けていったんです。だからヴァイオリンは恩人ですね。命の恩人。辛い時、ただそこにいてくれて、私が弾いたら音を出してくれる・・・優しかった、です。」

・芸術は教えられるものじゃない

・バロック楽器は今の楽器よりも生身の人間に近いんです。生きてるもの、自然に近いんです。・・・演奏するときは、生きたものを出さなきゃって思ってます。今はもう失われた音楽を。その音楽が最も輝ける形で、生きた状態で生み出したいんです。 金属や電気など、今は便利なものがたくさんある。だがあえて、人の力で風を送るオルガンで、羊の腸で作った、音を出す。人が今よりもっと、自然に近かったころの音楽。夜になれば闇。明かりといえば炎。そんな時代の、娯楽性だけではなく神秘性も持ち合わせていた音楽を、現代に蘇らせることができたなら・・・ 「それができた時、凄い感動があるんです!全てが混ざりあうんです。作曲家と演奏家が混ざりあって、聴衆と演奏家も混ざりあって。なんだか、宇宙の調和みたいな?」

・ある先生の言葉 「私たちは音楽の末端でしかない。けれど、その末端は本当に美しくなければならない」

・あるオルガン専攻生 「音楽って、生きていくうえでなくてもよいものなんです。でも、長い年月をかけて発展してきました。 やっぱりなくてはならないものなんだって思います。

  ◇    □    ○     ※     ☆

 著者 二宮さんがこの本を執筆された当時、奥様は東京藝大の現役の美術科の学生さんですので、美術関係についてもいろいろなエピソード満載の本です。 いろいろ中を専攻している学生さんたちにインタビューして書かれていますので、芸術に打ち込んでいる人たちの人生がたくさん紹介されている本になっているところが貴重に思われます。

 今日も、良い日となりますように。

 

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