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2020年3月14日 (土)

『気骨について』 城山三郎

0001_20200313142901 『気骨について』

城山三郎 著

新潮文庫 平成18年4月1日 発行

 骨 という漢字を見ると健康番組などで見かける「骨密度」のことなどを思い浮かべそうになる私です。けれど、この本は、まぎれもなく「気骨について」の対談集です。

 加島祥造さんとの対談のタイトル 人は経済のみにて生くるにあらず からは、聖書の「人はパンのみにて生くるにあらず」を思い浮かべました。

 巻頭の澤地久枝さんとの 戦争、時代、そして人間 の章で、まず、気骨に書いて 考えさせられました。

 城山三郎さん 本来の自由主義は、他の大義を認めるものです。・・・独裁的でおかしな政権ができても、ジャーナリズム、言論が自由であれば、権力主義的な暴走を抑えられる。そういう自由があるからこそ自由主義はいいのであって、他の意見を一切許さない姿勢は、不自由な社会へ向かう大義になっていく。このところ、何としてもその自由を守りたい気持ちが強いのです。

 澤地久枝さん 私も同じ思いです。中野重治は「我々は、人の志は達せられ、愛は受け入れられ、仕事はむくいられ、正しさは認められ、義はかかげられることを欲するものであり、そうあることは可能だと知るものであり、そのために喜んで働こうとするものだ」と書いています。

   ◇     □     ○  ※    ☆

 戦争中に生き、そして亡くなった方の志・行動が具体的にいくつも挙げられて、目を開かれました。

 ワーテルローでナポレオンを打ち負かしたウエリントン将軍(「ワーテルロー」という映画では、あの「サウンド・オブ・ミュージック」で♪エーデルワイスを歌ったキャプテンの俳優が演じています)が自らの伝記にこう記しているそうです。

 戦争は、負けた方はもちろん悲惨だけれど、勝った方も悲惨だ。一番よいのは、戦争をしない者

  この章では、城山三郎さんの著書『指揮官達の特攻』に書かれている中都留達雄大尉たちの、8月15日の壮絶な死のことが紹介されています。 司令官が、中都留大尉たちに戦争が終わったことを知らせずに、米軍が勝利を祝うパーティを開いている沖縄の伊平屋(いへや)島に突っ込むように命じたのだそうです。無条件降伏後の「だまし討ち特攻」です。

 この「だまし討ち特攻」は、未然に防がれました。離陸した空に前日までと全く違って他の飛行機が居ないことなどから戦争が終わったことを察知した中都留大尉は、搭載していた800キロの爆弾を海に捨て、アメリカ軍と沖縄県民がいる場所へ特攻機で突っ込むことを避け、海や畑に突っ込んで亡くなったとのこと。

 司令官が「自分は自決するが、君たちがどうするかは自由だ、あるいは生き延びよ」と言えば、中都留大尉たちは死なずに、戦後日本の復興に大きな働きをなさったかもしれないのです。 中都留大尉のお母さんは、月のきれいな夜になると、ふうっと家から居なくなり、家人が探すと海岸でひとりたたずんでいて、娘さんに言ったそうです。

 おまえの父親は水泳がすごくうまかったから、沖縄で死んだとはいうが、どこか島から島へ泳いで泳いで、こういう月の明るい夜に帰ってくる、そう思っているから、だから待っているんだ ・・・。

  ◇    □     ○     ※    ☆

 読んでいて つらくなることも書かれています。 でも、大切なことだと思いました。

 読書の大事さも この本での対談者たちはみな読書家ですから、しっかりと書かれています。

 よろしければ、どうぞ。

 今日も良い日となりますように。

 明日は日曜日。キリスト教会の礼拝にお出かけください。

 

 

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