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2020年3月 4日 (水)

『菜種晴れ』・『戌亥の追風』  山本一力 著

0004_20200229113801 『菜種晴れ』

山本一力 著

中央公論新社 2008年3月25日 初版発行

 房州勝山に生まれた二三(ふみ)は、江戸で菜種油を商う親戚に懇願されて、5歳から江戸で生活することになります。

 幼いながら、いろいろなことに気丈に取り組み、才覚を発揮します。

 江戸の火事で、養父母を失い、再起していたのですけれど婚約者と実母をまたしても火事で失います。

 二三(ふみ)はここからも立ち上がって、江戸に近いところ砂村で、幼いときから経験のある菜種を始めます。

 460頁の大作の結び近く、二三は菜の花の黄緑色の大海原に目を向けながら言います。

 あたしには、菜の花があるもんっ

 

 

 

戌亥の追風』(いぬいのおいて)0003_20200229115301

山本一力 著

集英社 2014年6月10日 第1刷発行

 1853年6月 黒船の襲来で日本全体 とりわけ江戸の町は大きな衝撃を受けました。

 いろいろな余波があり、江戸に出入りする舟を管理する船番所では、それまで「入鉄砲 出女」という言葉にあるように、江戸に持ち込まれる鉄砲、江戸から出ようとする女性への詮議を厳しくしていましたが、江戸に入ろうとする女性に対してもいきなり詮議を厳しくしました。

 その詮議のため、房州木更津湊(みなと)の薪炭問屋の娘、おきょうが中川舟番所に留め置かれることになりました。おきょうの側には何らやましいところがなかったのですけれど、女性の吟味に当たるおせいという人物は、かつておきょうの実家、波切屋に務めていると口にした船頭にひどい目に遭わされた恨みを覚えていたのです。

 そうした状況のところに、おきょうが船番所にとめおかれていることを材料に大金をせしめようとした悪知恵の働く人物がいて、船番所の役人の一人を巻き込みます。瓦版に大きな商家である波切屋の不祥事をかき立てて5千部売りまくるとゆすれば、悪い風聞を恐れて50両を差し出すだろうともくろみました。 悪知恵の働く悪党と悪徳役人、そして今でいうとゴシップ紙を生業とする悪人の結託 ・・・ おきょうとその店、それに関わる人たちはどうなるのでしょう。

 ご安心ください。善良な庶民を守ることを使命と心得ている役人と才覚のある人々の迅速な働きにより、悪人たちは一網打尽、この物語のフィナーレは、おきょうが許婚者に朱に染まった顔で帆掛け船を見ながら発した「わたしもあなたの追風になるから」という言葉で結ばれます。

 ネタバレになって申し訳ありません。 良さそうだとお思いになりましたら、図書館でお借りになって394頁をお読みになってください。

 きょうも、良い日となりますように。

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