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2020年7月 9日 (木)

『聖灰の暗号』

0003_20200705160501 『聖灰の暗号』 上・下

帚木蓬  著

新潮社 2007年7月20日 発行

 帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんも、海堂 尊(かいどう たける)さんと同じく、お医者さんで作家さんです。 

 この小説の舞台はフランス。主人公は日本人歴史学者 須貝 彰(すがい あきら)。マリー・ローランサンやマリア・カラスも眠っている大きな墓地から物語はスタートします。

 ジャンヌ・ダルクが裁判の結果、火刑に処せられたことは、よく知られています。魔女狩りで有罪になると、火刑になる時代、カタリ派と呼ばれる多くの聖職者、信者が迫害された歴史を主人公はたどります。 ラテン語、そしてフランスの人にもあまり読み書きできる人のいないオキシタン語を主人公は習得しています。

 神さまを信じている人同士で命を奪い合ういたましい歴史の一端が主人公によって明らかにされていきます。

 よく知られている十戒の中に「殺すなかれ」とあるのに、なぜ・・・という問いが浮かんできます。

 十字軍といいながら、暴力むき出しの略奪隊になってしまった時があり、悲惨な歴史があるのはどういうわけでしょうか。

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 弾圧に来た人たちにも、嘘を言わないカタリ派の人たちは正直に接し、芋づる式に逮捕され、

改宗を迫られ、それには屈しないで火刑に処せられていきます。

 そうした歴史を明らかにしようとする現代の主人公も、危険な目に遭います。

 それに屈しないで真実を明らかにしていく姿に、胸を打たれました。

 物語とは離れますけれど、過去の歴史に留まらず、現在の社会にも憎み、争いはあり、大規模な軍事演習をして、こんなにわが軍は強大で優秀なんだぞ、と力を誇示する姿があります。

 「平和をつくり出す人は幸いです。その人は神の子と呼ばれます。」 聖書

 ガキ大将が 力こぶの大きさを見せつけて誇る  ・・・これは、ほほえましい光景にみえるかもしれません。 けれど、力こぶ → 棒きれ 投げつける石が大きさを増し → ナイフ 拳銃

→ 機関銃 手榴弾 → 戦闘機 ミサイル → 核兵器 と際限なく エスカレートしてしまいます。

 軍艦 戦闘機 核兵器  その費用を 飢えている人たちのために用いたら どんなに多くの人が命を救われることでしょう。

 兵器を製造し、それを売って巨利を得る人は その兵器が 自分や子どもを含む自分の家族

の命を奪うのに使われることを 思い浮かべることが出来ないほどに 欲に目がくらんでいる

としか思えません。 売った拳銃の筒先が自分に向けられる ・・・ その恐れがあることに思い至らないほどに 想像力が貧困なのでしょうか。 ピストルの弾丸は、相手を焼き殺す火炎放射器の炎より 思いやりがある ・・・ そんな理屈があるでしょうか。

 建物は破壊せずに、その中にいる人を死滅させる核兵器の研究があるそうです。 文化的で理性があると感心できるでしょうか。

 高い空から 強力な爆弾を落とす ・・・その飛行機のパイロットは地上から飛行機を狙ってくる高射砲の玉が届かないことを確認済みで ・・・ これが もしリング上のボクシングで 相手は反撃する力もなく 一方的になぐられるまま という光景だとしたら、 なぐる側に声援を送る観衆はいるでしょうか。 

 新型コロナウイルスの感染の広がりを防ぐために手を結ぶよりも、弱みを見せないために自国の感染者数をひた隠しにする ・・・ なんと 危うい さびしい世界でしょう。

 いえいえ、ここで落胆してしまっては、希望がなくなってしまいます。 与えられている賜物を、明るい方向に向けて生かすこと、そして今、政治を司っている方々のために祈りましょう。人類が叡智を発揮して、より明るい世界へと歩を進めるために。

 小さな器の私には不相応なことを書いてしまったかと思います。 おゆるしください。 

 今日も、良い日となりますように。

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