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2020年9月 1日 (火)

海堂 尊さんのユーモア小説

0012_20200826090301  『ガンコロリン』 

 海堂 尊  著

 新潮社 2013年10月20日発行

 ちょっとドキッとさせられる題名ですけれど、ご安心ください。この薬でコロリンといくのは、人ではなくてガンのほうです。ガンを予防する効力もあるので、ガンの手術をしていた外科医さんたちは救急現場での外傷処置くらいしかすることがなくなり、絶滅危惧種となるというユーモア小説です。短編六つが収められています。

 私としては、最初の「健康増進モデル事業」が気に入りました。厚生労働省主催のこの事業に参加した社員を日本で一番健康な人にするというキャッチフレーズの面目にかけて推進する人が派遣されます。その人の働きで、パワハラをしていた上司は退任させられ、本人は50キロメート以内は徒歩で移動。エレベーターも厳禁という生活をして(させられて)、いたって健康な人になる、というような展開です。

 

 

 

 

 

『夢見る黄金地球儀』0014_20200826093601

 海堂 尊 著

 新潮創元社 2007年10月25日初版

 1988年、全国の市町村に一律一億円を交付して地域振興を図る政策が実行されました。

 温泉を掘ったところ、福祉の充実にあてたところなど色々ある中で、この物語の市では、黄金の地球儀が作られました。 その地球儀を巡って起こるドタバタが描かれています。 読後感は、さわやかです。

   ◇     ◇     ◇     ◇   ◇

 北杜夫さんは、ユーモア小説を書くときはどくとるマンボウ、遠藤周作さんは、狐狸庵(こりあん)というペンネームでしたね。 人には、真面目な作品を書く心と、ユーモアを交えた作品を書いて、ご本人もくつろぎたいという思いとが宿っているのだと思います。

 今日から、9月。 夏目漱石さんは、すっかり解決するということはないのだという意味のことを書いておられます。田辺聖子さんは、「では、そういうことで」と自分なりに区切りをつけることの良さを書いておられます。

 あまりにも徹底した完璧主義は、周囲の人とご本人を疲れさせる面があると思います。古来、厳格な法治主義を敷いた宰相は、自分自身の制定した法律によって処罰された例が少なくないようです。

 ほっとしてくつろげる場を準備しておいて、必要なとき、必要なことには真摯にベストを尽くす ・・・ そんなことの大切さを思いました。

 まだしばらくは暑い日が続くようですけれど、ホットな心で、よき9月となりますように。

おもしろき
 こともなき世を
 おもしろく

 すみなしものは
 心なりけり

 これは、高杉晋作が「おもしろきこともなき世をおもしろく」の上の句を高杉晋作が詠み、下の句は、福岡の勤王女流歌人・野村望東尼が付け加えた歌だそうです。

 

 

 

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