« 『口笛の上手な白雪姫』 小川洋子 著 | トップページ | 『なんらかの事情』 岸本佐知子 著 »

2020年9月13日 (日)

『紙の月』 角田光代さん

0010_20200826094401 『紙の月』

角田光代 著

角川春樹事務所

2012年3月8日第1刷発行

 東京近郊の銀行に勤めていた女性が大金を横領してゆくえをくらました ・・・そのことをニュースで知った学校時代の同期生たち、そしてタイに逃亡した本人の心境などで織りなされている物語です。

 大それたことを最初から計画していたわけではなく、顧客から入金のために預かった封筒から、たまたま5万円を抜き出して間に合わせたそのことがそのあと、大崩れに崩れていく端緒となってしまったと、本人は振り返ります。

 やりくりして、お金を戻すことが出来ると考えていたのに気が付くと収拾不可能な事態に陥っていた ・・・空の月も実体のない紙を切り抜いたような存在に見えてくるようになってしまいます。

 苦労して築き上げた生活が崩れ始めると崩壊するのは速い ・・・教訓めいた筆の進め方ではないのですけれど、日常の中に口を開けている落とし穴が見えてくる小説だと思いました。

 最初は、お金を受け取ることを断るなど、切り詰めた生活をきちんと築いていた相手が、次第にそうしたことに無感覚になっていき、経済的に甘えながら他の女性に心を移してしまうこと、ストーリーの進め方も単線的ではなく、主人公の学校時代の同窓生たちのことも複線的に描かれていて、考えさせられる作品でした。 

 今日も、良い日となりますように。

 

 

|

« 『口笛の上手な白雪姫』 小川洋子 著 | トップページ | 『なんらかの事情』 岸本佐知子 著 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『口笛の上手な白雪姫』 小川洋子 著 | トップページ | 『なんらかの事情』 岸本佐知子 著 »