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2020年11月29日 (日)

『職業としての小説家』 その2

 『職業としての小説家』のなかで、村上春樹さんがカフカについて書いておられること

 あなたが希有な天才なんかではなく、自分の手持ちの才能を、時間をかけて少しでも高めていきたい、力強いものにしていきたいと希望しておられるなら・・・意志をできるだけ強固なものにしておくこと。そして同時にまた、その意志の本拠地である身体もできるだけ健康に、できるだけ頑丈に、できるだけ支障のない状態に整備し、保っておくことーそれはとりもなおさず、あなたの生き方そのもののクオリテイーを総合的に、バランス良く上に押し上げていくことにも繋がってきます。

 フランツ・カフカは40歳の若さで肺結核で亡くなりました。残された作品のイメージからするといかにもナーバスで、肉体的には弱々しい印象があるのですが、身体の手入れには意外に真剣に気を遣っていたようです。菜食を徹底し、夏にはモルダウ川で1日1マイル(1600メートル)を泳ぎ、日々時間をかけて体操をやっていたそうです。・・・プラハの保険局で公務員の仕事をしながら、職務の間にこつこつと小説を書いていました。かなり有能な、真面目な官吏であったようで、カフカが休むと、局の仕事が滞ったという話です。

   ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

 ドストエフスキー  夏目漱石

 考えてみると僕の好きな小説には、興味深い脇役が数多く登場する小説が多いようです。・・・まずぱっと頭に浮かぶのはドストエフスキーの『悪霊』・・・なにしろ変てこな脇役がいっぱい出てきます。「なんでこんなやつが」と思うようなカラフルな人々、けったいなやつらが次々に姿を見せます。ドストエフスキーという人はきっとものすごく巨大な脳内キャビネットをもっていたのしょう。

日本の小説でいえば、夏目漱石の小説に出てくる人々も実に多彩で、魅力的です。ほんのちょっとしか顔を出さないキャラクターでも、生き生きとして独特の存在感があります。・・・いつも感心するのは「ここでこういう人物が必要だから、いちおう出しておきます」みたいな間に合わせの登場人物がほとんど一人も出てこないことです。頭で作った小説じゃない。しっかりと体感のある小説です。・・・文章の一つ一つに身銭が切られています。そういう小説って、読んでいていちいち信用できてしまうところがあります。安心して読めます。

   ◇    ◇     ◇     ◇

 この本を発行なさった2015年ころ、村上春樹さんの小説は、50カ国ほどのこと場に翻訳されて読まれるようになっていたとのこと。2020年では、もっと増えているかも知れませんね。

 小澤征爾さんと対談した書も出ていて、小説にいろいろな音楽を登場させている村上さん ・・・オリジナリティの定義にビートルズについて書かれた「ニューヨークタイムズ」(2014年2月2日)を引用しています。

「新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなくその人自身のものである」

 この本の中から何カ所かをつまみ食いのように紹介させていただきました。おつきあいいただき、ありがとうございます。

0006_20201125214501  今日も、良い日となりますように。 写真は、美濃市のうだつのある町並みで見かけた和紙のあんどんなどです。やわらかい光がすてきでした。

 

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