『加害者家族バッシング 世間学から考える』
佐藤直樹 著
現代書館 2010年4月20日 第1版 第1刷 発行
佐藤直樹さんは、1951年仙台市生まれの現代評論家とのことです。
犯罪を起こしてしまった人の家族に寄せられる手紙(現代ではインターネットを利用してのメッセージが多い)・・・日本では、匿名で、「どういう育て方をしたんだ。責任をとれ」といった強い調子の非難がほとんどだとのこと。
著者の調べた外国での加害者の母に届いた段ボール2箱分の手紙は、すべて励ましであったそうです。つらいでしょうけれど、こういうときこそ、刑務所にはできるだけ面会に行ってあげてください、というような具体的な内容の者もあったそうです。
テレビ会社の記者が訪れ、「ここが犯人の自宅です。犯人には妻と小学生の子どもが居ました」と家をライトアップしてこうこうと照らしながら放送した例が紹介されています。
加害者も、加害者家族も社会のケガレとみなされ、住むところも仕事も転々とせざるを得なくなるケースがおおく、空き家になった状態の住居が放火で焼き払われた実例も。
世間に顔向けができない 死んでお詫びをいたします というところは追い込んでしまうことのない 社会を形成していく道は 険しいのですけれど、より成熟した社会へと歩んでいけるように 考えてまいりたいと思いました。
加害者の家族の人権を守ってやる必要なんかない と、世間みんなが思ってしまい、自分たちの目の届かないところへいってしまえという気持ちをつのらせること その対局にあるのは 罪を憎んで人を憎まず という在り方ではないでしょうか。 大きな罪を犯した人を弁護する弁護士を 「なんであんな奴を弁護するんだ」と非難する声のほうが大きくなっては いけないと思います。 そんなことを考えさせられました。
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コメント
犯罪ではないのですが、コロナ感染者とその家族に対して、なんと「バッシング」があり、転居や自殺された例があるとききます。とんでもないことだと思います。人権、生きる権利を大切にし合い、支え合う社会でありたいです。温かい世間学が広まりますように!
※ ムーミンパパより
目に見えぬウイルスとの闘いに人類全員が力を合わせて向き合って乗り越える貴重な機会・・・千載一遇のチャンスでもあるのに、闘う相手を間違えてしまう姿が、いろいろなところで露呈していますね。 動揺せず、人としての気高い心を注ぎ合う 誇りの持てる歩みを築きたいです。 祈りの内に。
投稿: kei | 2020年11月26日 (木) 03時42分