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2020年11月27日 (金)

『フラミンゴボーイ』

0003_20201124131401 『フラミンゴボーイ』

マイケル・モーパーゴ  著

杉田七重  訳

 著者のマイケル・モーパーゴさんは、1943年イギリス生まれ。

 翻訳された杉田七重(すぎたななえ)さんは1963年東京都生まれ。小学校教師をなさった後に翻訳の世界にお入りになったとのこと。

 語り手となっているのはヴィンセント・モンタギュー  物語の入り口で、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの絵が登場いたします。

 物語の大半は、メリーゴーランドを組み立てて、それで生計を立てていたロマの一家と、フラミンゴがたくさんやってくる沼地近くで農業を営んでいる一家がナチスドイツの占領下でどう暮らしたかが中心となっています。

 題名のフラミンゴボーイは、傷ついたフラミンゴや動物と心を通わせることのできる自閉症のロレンゾにつけられた愛称です。

 深刻な状況ですけれど、次のような一節もあり、心に残りました。

 農家の貴重な働き手である農耕馬が片足を痛めていることが分かったとき、ロマの家族の馬車を引いているハニーに肩代わりをさせようと人々は考えました。

  ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

 名案に思えたけれど、それからすぐ、ハニーには農耕馬になる気はこれっぽっちもないことがわかった。

火ぶくれを起こしそうな熱暑の中でも、たたきつける雨のなかでも、幌馬車ならハニーは引く。ハエがいくらたかろうが、道が穴ぼこだらけだろうと、耐えられる。

 でも、肥やしを積んだ荷車を畑に引いていくのは断じて拒否した。雄牛や馬やヒツジをよせ集めるのもやらない。そういう仕事をするのは、馬車馬の沽券に関わるといわんばかりだった。

 もともと気むずかしい馬で、一筋縄でいかないのは、パパもママも知っていた。けれどもまさかここまでがんこだとは夢にも思わなかった。

    ◇   ◇   ◇    ◇   ◇

 一頭の馬の性格について、ここまで書き綴った文学作品に出会ったのは、私としては初めてでしたので、引用させていただきました。

今日も、良い日となりますように。。

 

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