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2020年11月 3日 (火)

『還暦少年』 平山 譲

0002_20201102222401 『還暦少年』

平山 譲 著

講談社 2014年7月15日 第1刷発行

 著者の平山 譲 (ひらやま ゆずる)さんは、1968年 東京生まれとのこと。

 この本で初めて知ったのですけれど、60歳以上の選手たちで構成される野球チームは、日本全国で400以上あり、全日本還暦野球連盟という組織があるのだそうです。

 著者の平山さんは、還暦以上の年齢になって、ますます情熱を込めて野球に打ち込んでいる方たちに取材を続け、この小説を書き上げられました。

 輝かしい球歴を持つ父親が、なかなか思うように進めない息子を励ます言葉が印象に残りました。

 「レギュラーになれるか、なれないかじゃなくて、レギュラーになろうと一生懸命なおまえを、父さんは応援し続けるよ」

 ー 九番 代打 キムラ君 の章 ー

   ◇    ◇     ◇      ◇

 定年をすぎて、入った野球チーム ・・・ 輝くばかりの野球の経歴の持ち主が守るセンターに打球が飛んで、俊足でキャッチした彼のバックホームの投球に期待のまなざしが注がれます。 けれど、渾身の送球は、中継に入った二塁手までも届かず、周囲をがっかりさせます。一番落胆したのは彼自身でした。 以前は、ダイレクトで捕手まで矢のようなボールが届いてアウトにしていたのに。

 再就職でパートタイムの清掃業で、知的障害のある青年と一緒に働くようになって、もどかしさで厳しく指導する彼は、所長からこう諭されます。「誰もがみんな、ナカジマさんみたいに、完璧な人間じゃないんです。」

・・・務め始めたときに、この所長に「ご自身のお子さんを育てたときのことを思い出しながら、障がいのある作業員たちに接してください」と言われていたのですが、猛烈社員として働いてきたナカジマさんは、自分の息子とコミュニケーションがうまくとれなくなっていて、所長の言葉にも戸惑うばかりだったのです。 所長は、プロ野球の審判員の名前を全部覚えているけれど、ほんとうに野球を見たことのない青年を東京ドームに連れて行っていくれるようにとオープン戦のチケットを準備してくれました。 ドームでの観戦は手間がかかりましたけれど、大きな収穫がありました。

 作業所の青年たちにレクリエーションで野球を体験させたいとナカジマさんが提案し、所長がゴムボールやプラスチックバットなどを用意してくれて、その提案が実現し、障害を持つ青年たちとナカジマさんの距離はぐんと近づきました。

 ナカジマさんは柔道整復師になった息子とコミュニケーションがとれるようにもなります。

 ー 七番 センター、ナカジマ君の章 ー

 胸が熱くなるところがたくさんあって、つい、長くなりました。

 野球好きのかたも、それほどではないかたも、よろしければ、どうぞ。

 もうしばらくは、スポーツの秋・読書の秋ということで、いかがでしょう。

 良い日となりますように。

 

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コメント

すごいお話ですね!!!読んでみたくなりました!!!
※ ムーミンパパより
  まず『還暦少年』という題名に オッ と思いました。かつての教え子たちが還暦を迎えたり、数年越えたりし始めているので(^J^)
還暦以上の年齢のかたが、元気に古希を越え、さらなるシニアチームを結成している例もあるそうです。もちろん、1チームでは試合ができないので、相当数チームがあるのだと思います。
 障がいのある人と共に清掃するという初めての体験を通して何というか、心の血流が豊かになって生きがいのある日々・人間関係が生まれてくる・・・そういう感がいたしました。 情熱ある限り、人は老いることがない ・・・今日も、良い日となりますように。

投稿: kei | 2020年11月 3日 (火) 02時41分

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