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2020年11月28日 (土)

『職業としての小説家』 その1

0004_20201124135501 『職業としての小説家』

 村上春樹 著

スイッチ・パブリッシング 2015年9月17日 第1刷発行

 村上春樹さんは1949年生まれ。作家・翻訳家。

村上春樹さんのことは、ノーベル文学賞を今年こそ受賞するのではないか と何年にもわたってその時期が来ると話題になるほどのかたですから、私が改めて紹介することはないと思います。

 この本は、執筆・発行なさるまでのおよそ35年間の小説家生活を土台に、とても丁寧に12章にわたってご自分の考えを綴っておられます。その35年を振り返って、初心のころの思いがご自分でも驚くほど変遷していないそうです。

小説を本格的に書き始めるまでは、東京の国分寺の駅の南口で、ジャズのレコードをかけてコーヒー・お酒・料理を出す店を経営なさっていました。その後、千駄ヶ谷に移転され、経営も軌道に載っていたそうですが、二足のわらじは履かないと決めて、小説家一本に絞られました。

 好きなことなら、文句を言わずに一生懸命やるというのが取り柄だそうです。身体を大事になさっていて、ほぼ毎日1時間走ること、そして年に1度はフルマラソン・レースを走り、トライアスロンに出場することを積み重ねてこられました。

 このかたは、出版社と契約して本を書き始めるということをなさらないのだそうです。

 ご自分の心が、書きたいという思いになったときに書き始め、書くことを楽しみ、出来上がった原稿をじっくりと読み返し、細部までにわたって点検して書き直し・・・それをとんかち仕事と呼んでおられます。

   何度も読み返して響きを確かめたり、言葉の順番を入れ替えたり、ささいな表現を変更したり、、そういう「とんかち仕事」が僕は根っから好きなのです。・・・いつまでやっていてもちっとも飽きません。 (153ページ)

 必ずしも村上春樹さんの小説に心酔している私ではありませんが、文章を書くこと・言葉についての真摯な姿勢には学ぶところのたくさんある本でした。

 一番、響いてきたのは、最初のほう(37ページ)に書かれているこの文章です。

 どれだけそこに正しいスローガンがあり、美しいメッセージがあっても、その正しさや美しさを支えきるだけの魂の力が、モラルの力がなければ、すべては空虚な言葉の羅列に過ぎない。・・・言葉には確かな力がある。しかし、その力は正しいものでなくてはならない。少なくとも公正なものでなくてはならない。言葉が一人歩きをしてしまってはならない。

 よろしければ、どうぞ。 明日、、その2として村上春樹さんが漱石、カフカについて記しておられることを書かせていただきます。

 今日も、良い日となりますように。

 

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