私は、現役の教師時代、不審者による事件や不祥事件が報道されたときなどには、それはそれとして受け止め、とるべき手立ては、もちろん講じて対応してきたのですが、必要以上に過敏になったり、絶望したりしないで教育実践を元気に展開することが大切だと考えて歩んできました。
「真剣であれ、されど深刻になるな」 こんなキャッチフレーズも生み出しました。
さて、この瀬尾まい子さんの書かれる本には、荒れた中学校においても、基本的にめげないで、くずれたように見える生徒とも心を通わせ、力まないけれど折れない葦のように教師として歩み続けておられる足跡がにじみ出ているように思います。
瀬尾まい子さんは、大阪府生まれ。9年ほど学校の講師をされ、現在は京都府内の中学校国語教師としてご活躍のようです。
『見えない誰かと』 祥伝社 平成18年12月10日 初版第一刷発行
この本は、モバイル 連載 「誰かとつながる。それは幸せなことだ」に加筆訂正し、まとめられたものだそうです。
その昔、能力開発センターでアルバイトしたときに、周囲の雰囲気とはかけはなれたように、おっとりした子がいて、毎回、授業後に、迎えに来た保護者と指導者とのやりとりの時間のとき、その間に、その子はお父さんのかばんからめがねを取り出し、黙々と磨いていた ・・・ そんな話も書かれています。
「かっちゃんて、優しいんだね」
「お迎え来てくれるからねえ」とおっとりした答え。
そして「きれいになあれ」とつぶやきながら、また丁寧にめがねを磨きはじめた。
・・・ いかがでしょう。なんだか、温かい気持ちへとさそわれますね。
34のお話があなたの到来を待っています。本のカバーにはこう記されています。
私のそのときの毎日を楽しくしてくれている人は、確実にいる
ちょうど、この本を読んでいるときに、妹の一人(保育士・介護福祉士を経て、現在はホームヘルパー。登山、絵本好き・・・)がこの本を紹介してくれ、そのタイミングに驚きました。
『ありがとう さようなら』
メディアファクトリー 2007年7月7日初版第一刷発行
こんな文章が目にとまりました。
「辞めてやるって思うことも度々あるけど、それ以上の感動がちゃんとある。生徒と一緒に何かを創っていくのは、ぞくぞくする。行事に授業、掃除、給食、係活動。面倒だけど、どれも楽しい。」
序文には、こんなことが書かれています。
(前略) いざ(エッセイを)始めてみると愉快なことやちょっと胸を打たれるようなことが、学校という場には月に数百字では収まらないくらい起こっているんだと、改めて感じることができました。
あるとき、教頭先生に「おみゃあが出してる学級通信と区別つかんわや」といわれましたが、その通り、内容こそ違いますが、学級通信を発行するように、伝えたいことを大事な人に書いているような、そんな気持ちだった気がします。
内容は、たとえば、瀬尾さんが29歳になった日から、中学生が30歳までには結婚するんだろうとカウントダウンを始め、ことあるごとに「あと半年しかないやん!どうするの?」とか、「○○のおじさんって独身やで。45歳過ぎてるけど」などと心配してくれると書かれていたりします。
また、町内駅伝大会に他の女性教師の倍ほどの区間を走ることになったのは、ふだん、化粧もしなくて女性として見られていないからではないかと、お化粧に力を入れようと決心したこと
この本の別のところには、力んでお化粧して登校したら、「なぜ、今日はスカートをはいてくるのか」と詰問され、面倒なので放っておくと、「合コンに行くのだ「という話になり、帰る頃にはすっかり発展して、「彼氏ができたに違いない」となる。 ・・・2日も化粧すると、どっと疲れて、もとの格好で学校に行くと、今度は「彼氏に捨てられたに違いない」となるのだ、などと書かれています。
そして、おしゃれができないのはみんなが過剰に反応するからだと居直ったら、生徒からいきなりイメージチェンジをしないで、さりげなく少しずつ変えていけば気づかれないとアドバイスされたことなどが書かれています。
教師を目指している人にも、現役教師にも、そして、教育に関心のない方にも楽しんでいただける作家、瀬尾まい子さんの本を、もし、まだお読みになっていない方は読書の秋のどこかでお読みくださればと思います。
本日も、よい日となりますように。
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